ストーリーテラーateruiの物語

たくさんの人に伝えたい日本の歴史を中心に発信していきます。aterui(阿弖流為)とは、東北の地に生きた英雄の名前です。阿弖流為のように強く優しくありたいと思い、この名前をつけています。

日本が売られる―アメリカの後を追う日本―読書感想

こんにちは。ストーリーテラー阿弖流為です。今日は、『日本が売られる』(堤未果著,幻冬舎新書)を読んで感じたこと等を書きます。

 

堤未果さんはアメリカを中心に取材し、文章を書いている国際ジャーナリストの方です。堤さんの著書は個人的に非常に関心のあるテーマばかりなので、今までの著書は基本的に全て読んでいます。2回、講演会にも行き、直接お話したこともあります。

 

さて、前置きはこれくらいで本題に入ります。『日本が売られる』という、一見するとかなり衝撃的なテーマの本。中を読んでみると、たしかにタイトルの通り、ぞっとするような内容が多々書かれていました。

 

今、日本国内で起きていること。近々起ころうとしていること。いい意味の変化ではなく、一般的な国民からすると”悪い変化”だと感じる多くの事実。正直、読んでみての率直な感想は”怖い”というものでした。

 

今まで日本国内で守られていた多くのものが、規制緩和やグローバル競争、効率化、貿易の自由化、等の名のもとに、なし崩し的に壊されてきてしまっているということが書かれている。

 

例えば、教育。日本はご存知の通り、今はまだ義務教育です。しかし、今後、近い将来、民間の学校が生まれてきます。すでに日本でも法律が書き換えられ、民間企業が教育の分野に参入できるようになりつつあります。

 

民間の学校が生まれることが意味するもの。利益を追求する企業が学校経営をするようになるとどうなるか。子供たちの成長が主眼に置かれるのではなく、利益を追求することが主題になる。効率化。生産性の向上。なるべく安く、早く、手間をかけずに、教育する。

 

実際、アメリカでは企業が学校教育の分野に入ってきたことで、多くの弊害が生まれている。教師は、生徒の学力が向上したかどうかを評価されるため、不正をしてでも、生徒のテストの点数をあげようとする。生徒が悪い点数を取れば、解雇される可能性もあるため、教師は仕方なく、不正を犯すようになる。点数が悪い学校は閉鎖され、点数を取らせることが出来ない教師は解雇される。

 

たとえば、教育の分野に今起ころうとしていることはこのようなこと。規制緩和の名のもとに、日本の中で守られてきたものが壊れようとしている。

 

今回の本を読む限り、医療、食、教育、情報、漁業、農業、森林、土地、労働力、等これらのものが近い将来、危機的な状況に陥ることが良く分かった。

 

結局、アメリカではすでに、ここに挙げたような分野で、様々な弊害が起きている。日本はその後追いをしている。このまま進めば、10年後にはかなりまずい状況に陥るだろう。医療費は高騰し、食の多様性は失われ、職は外国人労働者にとって代わられ、教育は今以上に画一化し、人間の可能性は小さくなってゆく。

 

日本が今どこに向かって進みつつあるのか、まずは知ることが大切。今回は教育だけを取り上げましたが、他の分野の話もまた書きたいと思います。

 

では。